血栓性静脈炎(静脈血栓症)
むくみ(浮腫)というのは、身体の一部、もしくは全身のあちこちに生じます。局部的なむくみ(浮腫)の場合、血管(静脈)が浮き上がっているかどうかを手がかりにして、浮き上がっていない場合は「血栓性静脈炎(静脈血栓症)」、浮き上がっている場合は「下肢静脈瘤」が疑われます。
血栓性静脈炎(静脈血栓症)の場合は、足の腫れや、皮膚が紫色に変色するなどの症状が見られます。一方、下肢静脈瘤の場合は、足が重だるく、痛みを伴うようです。いずれも循環器または外科を受診しましょう。
血栓性静脈炎(静脈血栓症)
血栓性静脈炎(静脈血栓症)とは、静脈のなかに血液のかたまりができ、静脈が詰まってしまう病気です。この血液のかたまりが「血栓」です。血栓ができる場所は、皮膚に近い表性静脈と、筋肉の中を通る深在性静脈にわかれています。これらの病気は、男性よりも女性に多いとされ、年齢は男女とも20~40歳代に集中します。
皮膚に近い部分に血栓ができる、「表性静脈」の場合は、皮膚が静脈に沿って赤く腫れ、痛みを伴います。一方、深在性静脈に血栓ができた場合は、足全体もしくは太ももやふくらはぎに痛みが生じます。チアノーゼといい、皮膚が紫色になることもあり、むくみ(浮腫)が生じます。
深在性の場合、放っておくとむくみ(浮腫)が取れなくなってしまい、皮膚や皮膚の下にしこりができ、さらに肺塞栓症を引き起こす原因ともなりますので、血栓を溶かす薬を用いるか、血栓を取り除く手術を行います。
静脈瘤
静脈瘤(じょうみゃくりゅう)は、比較的女性に多く見られる病気で、30~40代に集中しています。労働環境や生活環境、食事が影響していると思われ、欧米諸国に多く、アフリカ諸国では少ない傾向があるようです。日本でも最近特に、まれな病気ではなくなってきました。
静脈瘤は、静脈の一部が異常に膨れ上がり、曲がりくねって、瘤(こぶ)のように皮膚から盛り上げる病気です。主に足の静脈に生じ、これを「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」と呼びます。しかし、足に限らず、腕、おなかの表面、さらには肛門の周辺の静脈にできることもあるようです。
下肢静脈瘤は、理容師、美容師、歯科医、調理師、ウェイトレスといった、長時間立ったまま仕事をすることが多い人に多く発生する傾向があります。
放っておくと確実に悪化し、回復がいっそう困難になりますので、早めに循環器科や外科を受診し、治療を受けることが必要です。
症状としては、静脈が浮きでて、むくみ(浮腫)があるという他に、軽いうちは足がだるい、重い、疲れやすい、つっぱる、かゆいといった症状があります。かゆいところをかきむしったために皮膚炎を起こすことがあります。また静脈瘤が血栓性静脈炎を起こしたりすると、発熱や痛みを伴うなどの炎症反応がみられることもあります。このような炎症は決してまれなことではありませんから、注意が必要です。
病気が進行すると、静脈から血液が漏れて皮膚の一部が褐色になることがあります。そしてその部分にそって湿疹が現れ、悪化すると潰瘍を起こすこともあるため、早めの対処が必要です。
立ち仕事
立ち仕事が多い人に、静脈瘤(じょうみゃくりゅう)が、特に足の静脈瘤が発生しやすいという報告があります。これを下肢静脈瘤と呼びます。たとえば、ウェイトレスや調理師、歯科医、理容師、美容師などの職業に就き、長時間立ったままの姿勢で仕事する人たちです。
これらの職業に就いていらっしゃる方は、(仕事中はしかたがないとしても)休憩時間には、足を高く上げ、足の静脈に血液がたまらないようにすることが有効です。特に夕方になると、足の静脈に血液がたまり、むくみ(浮腫)が出てきますから、夕方には足をマッサージしてみましょう。
その他、仕事中でも足の血液の流れをよくするために、なるべく動くようにします。同じところにじっと立っているのがもっともいけないらしいのです。
その他、ストッキングなどを利用するという方法もあります。伸び縮みをする包帯を足の指先から膝あたりまで巻く、弾力性のあるストッキングをはく、などの対策です。これらは一般の薬局で入手できます。
静脈瘤は、放置しておくと確実に悪化します。回復も困難になりますので、早めになんらかの対策を取ることが必要になります。以上のような方法を行っても症状がまったく改善しない場合は、もはや手術をしない限り、仕事に従事することが難しくなります。
静脈瘤が悪化し、血栓性静脈炎や色素沈着、下腿潰瘍といった合併症を引き起こすことは決してまれではないのです。特に静脈瘤から出血した場合には、足を心臓よりも高くして寝ているとたいていの場合は出血が止まります。しかし感染の危険がありますので、医師の手当てを受けてください。